gallery yamahon 林友子展 – 底荷と点 –

2025.10.04Sat - 2025.10.19Sun※終了しました

伊賀市内にあるギャラリーやまほんにて、林友子さんの展覧会が開催されます。

gallery yamahon 林友子展 – 底荷と点 –

林友子展 – 底荷と点 –
会期|10月4日(土) ▷10月19日(日)
開廊時間|11:00~17:30
定休日|火曜・水曜(祝日除く)
在廊日|10月4日(土)


「シカク」は当初、透明な時間への入り口をイメージしていたが、
実際に身体を動かしながら整えていくうちに、精神の体幹の源泉、
井戸でもあり、底荷でもあると考えるようになった。

底荷とは、船舶の安定性を高めるため、船底に積み置かれる砂利などの荷である。
船を推し進める力はないが、バランスを取り、転覆から救う静かな力。
バランスとは、白と黒の間にある、複雑な陰翳、グレーのグラデーションのうち、
都度、どこを支点とするか、時に間違い、悩み、振れながら探り続けていく
マニュアルのないものだと思う。

差異は、種子のように細胞体のように、小さな点になって、
私の中にバラバラに存在する。
いつもはその存在は弱く明滅しているが、新たな刺激により漣、呼応し始める。
そしてある時、点と点が繋がり、底荷の砂となり、
ふたつめの井戸の湧き上がるエネルギーとなる。

また、点はあなたと私の点でもある。

あえて言葉にならなかった言葉、ためらい、言いよどんだ間、
視線、その人だけが持つ感慨、熱情  言葉の前にある身体。
その「なにか」が透明な言語であり、あなたの点である。
私の偏愛の点と、あなたの偏愛の点の邂逅は、言葉以上の対話であり、
新たな差異を生み、私の血、私の鼓動となる。

林友子

静かに佇む造形のなかに、言葉を超えた存在の重みと響きを探る。
林友子は、太古から地上に永続してきた砂や土、木、金属といった素材に向き合い、制作を続けてきました。
「底荷」とは、船の安定を保つために積み込まれる砂利や砂を指します。水面下で姿を見せぬまま、全体を支え、揺らぎを鎮める存在です。林はそれを、植物の根や人の営みの基盤に重ね合わせ、かたちを通して確かな重力と静けさを表現します。
一方で「点」は、種子のように無数に散らばり、呼応し合いながら、新たな点を呼び込む存在です。それは言葉に先立ち、身体の前に立ち現れる小さな光でもあります。
本展では、石や土、砂といった素材から立ち上がる彫刻や平面作品を通して、目に見えない力がかたちを持つ瞬間を提示します。それは私たちが生きる世界の根源を探り、同時に新たな可能性を指し示すものとなるでしょう。
林友子の作品に触れるとき、鑑賞者は静かな対話へと誘われます。そこには、言葉を超えた「点」と「底荷」があり、私たち自身の奥深くに響きわたるもうひとつの風景が広がっています。

林 友子 Yuko Hayashi

経歴

1968 東京都生まれ
1990 女子美術大学 産業デザイン科工芸専攻 卒業
    ディスプレイ会社勤務後、木工制作を始める
    東京藝術大学・田口安男教授に西洋古典金箔技法の指導を受ける
    その後、左官材、箔、木地などを使い、額縁を中心に様々な表現に取り組む
    2005年以降、個展、グループ展などで作品を発表

イベントの詳細はこちら

ギャラリーやまほん 外観

開催場所:gallery yamahon(ギャラリー やまほん)

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